おかわりのƖ ıるきみたちへ

07th関連作品の考察 特にキコニアのなく頃にのネタバレ考察をしていきたいと思います

都雄ができること

一見、都雄は正しい行いをしている

 与えられた状況でベストを尽くし、最善の選択肢を選んでいるように見える

“善とは悪に立ち向かう者だけを指す。それ以外の全ては悪に属する。中立も傍観も全て、消極的に悪に加担しているからである”
――ショーン・ラスキン

  第21幕間 中立も傍観も全て悪 厳しい目で見ると都雄は世界の軍事バランスを塗り替える存在だということを世に知らしめた自覚がありながら、夜はよく眠り恋にソシャゲに猫動画収集といった青春を謳歌し、貧困層との格差社会に無自覚

 霊素を使う事で田舎の街にどれだけアンモニア臭を押し付けているか、霊素の原料は一体何で自分たちは何に生かされているのか知ろうともしない無責任な人物である、ということになる

 英雄的主人公にあるまじき、大多数の我々と等身大の人物であり、一周目の前原圭一である

藤治郎がヒントをくれている 

 10章でセルコンを切った親子の会話で藤治郎は都雄に重要な話をしている

「何が敵で、何が悪か。誰と戦うべきなのか、誰と共に戦うべきなのか」

「考えろ。」

 またセルコンをつけたあと

「お前は警察署長か?防諜機関のボスにコネでもあるのか?」

 盗聴されているため、一見考えることを先延ばしにさせる誘導だが、同時にこれもヒントになっている 仲間が大勢いるのなら、どこかにコネがある 実際、ギュンヒルドは警察にコネがあり、父藤治郎、鈴姬の祖父なども大物だ リーテバイルの兄シリルは“動かすお金も、コネクションも、桁違い” 三人の王疑惑を挙げはしたが、生きて味方につけることができれば状況は大きく変わっていただろう

 14章で都雄は世論の異常な過熱ぶりに気がつくが、それに対しては何も手を打てない 秘密の騎士団の結成は、世論には全く影響を与えず問題の先送りでしかない

 18章の藤治郎からのメール内容も“焦るな”とセルコンを介するやりとりでは先送りを推奨している

実質的傍観 

 17章で都雄は「目がほしい」「警察や情報機関で働く若者を加える、というのはどう思う?」と言うが、スタニスワフに説き伏せられチャンスを逃す

 「 私たちの左腕には、とても大きな力があるのに!!私たちは何も活かせずに、ただ壁を支えてることしか出来ないのでしょうか……!!」

  22章 リーテバイル兄と連絡がつき、これで助言が得られると、事態が進展したと思った都雄はクロエの発言に、軍人である自分の役目ではないと、何もしない選択をしてしまう 「ついていきますよ」と重ねて具体的なクーデター案を出せと迫られているのに、結局シリルからの助言も得られなかったこともあり、無策で12月25日を迎えてしまう

サミット

 25章 鈴姬がクリスマスパーティーガントレットナイトのサミットのようだと発言する

 都雄には1000人規模の集会を行う脳力があり、その全員に話を聞いてもらえるだけのコミュニケーション能力がある ガントレットナイトの意見をまとめ、LATOの協力を得て「死ぬな、殺すな」を仲間内の暗黙の了解ではなく国際的な条約にする交渉が可能

周回できるなら

戦争に限らず、喧嘩もすれ違いも皆、コミュニケーションの不足から生まれる。  

14章の地の文だ コミュニケーションで実現の可能性のあることを挙げる

  • 誰が敵で、誰が味方か感情論でなく考える 友人のガントレットナイトといえど、今後の生活を、家族を、国民を、命を盾にとられている
  • 軍旗祭のお疲れ様大浴場では友人になるために国際問題の議論を棚にあげ、フレンドになった そこからさらに本心を話せる信頼関係を築き、キズナフィルターに邪魔される事なく議論をする
  • そのために語学を勉強し自分の言葉で正しく伝えられるようにする その時間がなければ、小此木教官などセルコンを使う前に自分の脳で勉強していた人間を、大人たちを味方につける
  • 大人を味方にするのに必要充分な資金を調達する
  • 戦争になれば真っ先に自分たちが矢面に立たされる存在だという危機意識と、その気になればクーデターを起こせる存在だという自覚を共有する
  •  「死ぬな、殺すな」を条約にする
  • ギュンヒルドを早期に味方につけ警察署長や政治家とのコネをつくる

この他に、都雄が勝利するには欠けている駒をゲーム盤に立たせることが必要だろう